人間の進化を研究するために「犬のコミュニケーション能力」を調べた
「人間がどのように進化したのか」を語るうえで欠かせないのが、「他の種の動物と何が違うのか?」という点です。
ここで真っ先に出てくるのが「コミュニケーションスキル」ですね。
つまり、人間は他の動物より集団でのコミュニケーション能力が発達しているということ。
通常、この手疑問を調べる場合は、人間に近い種である。「チンパンジー・ボノボ・ゴリラ」などを調べることが多いのですが、近ごろ読んだ論文は「犬」を調べるという斬新なアプローチをしていて面白かったので紹介したいと思います。。
犬と2歳の子供とチンパンジーのコミュニケーション能力を比較した
これは2017年にアリゾナ大学が行った研究(R)で、犬・2才の子供・チンパンジーが、さまざまな認知を測定するために設計されたテストをどのように機能するかを調査し、違いを調べたという内容になります。
具体的にどのような実験デザインかというと、「ペットとして飼われている犬」「介助犬」、「爆発物探知犬」などの552匹の犬を対象に行われており、
『「おもちゃ」や「おやつ」を隠して、見るなどの非言語的な手がかりで隠し場所を教える』などのテストをやったんですね。。
犬の認知テストの結果を105人の2才の子供とアフリカの野生動物保護区にいる106匹のチンパンジーのテストの結果と比較したという感じです。
犬のコミュ力はチンパンジーよりも上!?
結果はなかなか面白いものになっています。
- チンパンジーは物理的環境や空間把握を含むテストはうまく機能したが、人差し指や目線を追うなどの協調的コミュニケーションスキルのテストはうまくできなかった!!
- 犬と子供は協調的コミュニケーションスキルでチンパンジーを上回った!!
まず、他人の視線を追ってしまうのが「コミュニケーションスキル」だという事に、驚きですがチンパンジーができないのも驚きですよね。。
なんか勝手にできるもんだと思ってましたwww
子供に関しては驚くこともなく、ここ10年間くらいの研究では、「生後9か月頃に発達する基本的なコミュニケーションスキルは人間を他の動物と区別するために最初に見えることである」みたいな結論になっています。
なので「2歳児なら、まぁできるでしょ!」といった感じ。
人にとって「犬は最良の友」である
ここで気になるのが犬が2才の子供と似たようなコミュニケーション能力を持っているという点ですよね。。
犬と人間の類似性について研究者は以下のように説明しています。
犬と人間の類似性に関する説明の1つは、2つの種が、より協力的な社会的行動に対する利益と報酬を伴う「最も友好的な生存」を支持する同様の圧力の下で進化した可能性があることです。
「私たちの作業仮説は、犬と人間はおそらく同様の進化プロセスの結果としてこれらのスキルのいくつかを進化させたため、おそらく人間の進化で起こったいくつかの事柄は犬の飼い慣らしで起こったプロセスに非常に類似していた」
やはり「犬は最良の友」という事らしい。
さらに、研究者は以下のようにコメントしています。。
「それで、潜在的に、犬と家畜化を研究することによって、人間の進化について何かを学ぶことができます。」
「その人のことを知りたかったら友人や職場の同僚を調べる」みたいな感じかな?
犬や家畜化された動物から人間の進化の謎が解き明かされるのを想像すると胸が高まりますね。。。。
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