運動は睡眠を改善する効果があるのは昔から科学の世界ではよく知られていることです。
2015年にボストン大学が、行ったメタ分析(科学的に最も信頼できるデータ)によると、定期的な運動習慣を持っている人は、「十分な睡眠時間が確保され」「夜中に目が覚めてしまうなどの覚醒」が改善し、日中の眠気の頻度が少なくなる」という事が分かっています(1)。
そんな中近ごろチェックした論文は、『「運動する時間が増えるor座りがちな時間が増える」などの行動のちょっとした変化は、10代の若者の睡眠を良くも悪くも変えてしまう可能性があるぞ!!』という内容でかなり面白かったです。
睡眠は新しく物事を学ぶ能力や、学校でも成績、パフォーマンスまたはストレスに影響を与えるため、ぜひとも改善しておきたいところ。
特に10代は高校受験、大学受験などのイベントがあり、それは今後の人生に大きな影響を与える重要な時期でしょう。それでは論文の詳細を説明していきたいと思います。。。
すぐに眠れる人、いつまでたっても眠れない人、の違いは?
これは、2019年にペンシルベニア州立大学が15才の417人を対象に行った研究(R)です。
まず、参加者には手首と腰に睡眠と身体活動を測定することができる装置(デバイス)をつけてもらい、1週間睡眠と身体活層を記録しました。
- 腰のデバイスは日中の身体活動を記録
- 手首のデバイスは就寝時間と起床時間を記録
この手の研究は、参加者に自らの行動を報告してもらうというパターン(主観的に測定する)が多いのですが、今回の研究は客観的にデータを正確に測定しているの点は素晴らしいです。。。
このデバイスを使用して何を調べたのかというと、日中にどのくらいの運動(ジョギングや部活など)をしたかどのくらい座りがちな行動(ゲーム、勉強など)を取ったかを調査しました。
具体的には以下の通りです。
中等度から激しい身体活動(MVPA): 中強度から激しい強度のゲームやスポーツ、ウォーキング、ランニングなど、、
座りがちな行動: 昼寝を除いた、座りがちな行動で毎日評価しました。座りがちな行動の例には、座ってテレビゲームをプレイするなど、、
上のデータを使用して参加者のステータスを作成したんですね。参加者のステータスは次のようになりました。
- 午前12:04の睡眠開始、午前7:49に起きる、461.8分(7.7時間)の睡眠時間
- 90.9%の睡眠維持効率を有していました。
- 昼間は、平均45分間の中程度から激しい運動をしていた。
- 座りがちな行動に約390分(6.5時間)を費やしていた。
このステータスを計った後に「日中の運動時間を増やしてもらう」or「座っている時間を増やしてもらう」ということを行った研究になります。
運動する時間が増えると眠りにつくまでの時間が早くなる
「運動する時間を増やした」参加者はどうなったのかというと、、
- 中程度から激しい運動を1時間増やしたら、眠りにつくまでの時間が18分早くなった!!
- 総睡眠時間が10分増加した!!
- 睡眠効率が0.6%向上した!!
この結果は、「まぁそうだよねっ」て感じですよね。
座りがちな行動を増やした場合は眠りにつくまでの時間が遅くなった
座りがちな行動が1時間増えた場合はどうなったのかというと、、
- 睡眠開始時刻が11分後ろにズレた!!
- 総睡眠時間が11分短くなった!!
- 睡眠効率はなぜか上がった!!
睡眠効率が上がったのに関しては謎ですが、睡眠開始時刻が11分遅れるのは、確かに1日中家でゴロゴロしている日ってなかなか眠ろうとしない場合が多いきがします。言われてみれば納得ですね。
運動のベストタイミングはいつなのか?
またこの研究はベストな運動のタイミングはいつ?みたいなことも調べてくれています。
- なるべく早くに運動したほうが寝つきの良さはわずかに良くなった!!
- しかし、睡眠時間、目覚め、睡眠効率には影響なし!!
といった感じです。
運動のタイミングは睡眠にあまり影響がないみたい。。
チューリッヒ工科大学の質の高い研究でも「夜に運動しても睡眠には影響がでない!!」という結果が出ているので間違いはなさそうです。
詳しく知りたい方は「夜に運動しても睡眠に悪影響はない!!チューリッヒ工科大学の研究」をご覧ください。
まとめると、タイミングは気にせずに、運動する時間を増やせば睡眠は改善することができるよということ、、、いつもより多く運動することを心がけてみちゃいかがでしょう??
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