この記事では「睡眠のちょっと変わった効果」について論文を紹介しながら説明しています。
睡眠は、人間が毎日よる行動ですが、その効果について知っていますか?
健康にいい!などのありきたりな物ではなく少し変わった視点で睡眠を見てみるとなかなか面白いですよ。
それでは「睡眠のちょっと変わった効果」を詳しく説明していきますね。
1.しっかり睡眠をとると孤独ではなくなる!?
孤独は、タバコ以上に体に悪くストレスの多いかなり厄介な問題です。最近だと孤独死なんて言葉が世間に浸透しています。
孤独死を避けるためには「孤独を避けるためには恋人でも作るべきなのか?」みたいに思ってしまいますよね。
しかし、カルフォルニア大学の論文では、「しっかり睡眠をとれば孤独ではなくなる!!」とのことです。ただ逆に「しっかり睡眠がとれなければ孤独になってしまう!!」ということでもあります。
カルフォルニア大学の研究
この研究は、18人の男女を対象に行われた実験で、見知らぬ人にどう反応したかを調べるために、人々の脳をスキャンしました。
研究者たちは自分の脳内で何が起こっているのかを監視しながら、遠くから彼らに近づいている他人のビデオを見て、他人が近すぎると感じたときにボタンを押すように指示を出したという内容になります。(1)
簡単にまとめると
- 18人の男女に1日替わりで「睡眠不足の日」を作ってもらう
- 睡眠不足の参加者に「人が少しずつ近づいてくる動画」を見せて、「これ以上は近づいて欲しくないと思う距離」になったらボタンを押してもらう
結果はどうなったのかというと、、、、
- 睡眠不足の場合はこれ以上近づいてほしくないと思う距離が60%遠くなった!!
つまり「睡眠不足になるといつもより人とのかかわりを避けるようになる」という事。ちなみに脳内では社会嫌悪にかんするエリアが活性化していたそう
研究者は次のようにコメントしています。。
「睡眠不足により、個人はより社会に対して回避的になり、他者とのより大きな社会的距離を保ちます」
また、この研究は1,033人を対象に観察研究も行っています、内容は以下のような実験デザインになっております。
- 全員に「見知らぬ2人が議論している動画」を見てもらう(十分に眠れている人と睡眠不足の人の議論)
- 動画の中の人物について「どれぐらい魅力的ですか?」や「どれぐらい孤独に見えますか?」と質問する。
すると面白いことに参加者たちは、正確に睡眠不足の人たちを「孤独そうで魅力がない」と判断したんだそうです。
- しっかり睡眠をとると孤独になるのを避けられる
- 睡眠不足になるといつもより人との関わりを避けるようになる!!
- 睡眠不足の場合他人からの印象が下がる「孤独で魅力的ではない」と思われる
2.睡眠は私たちが他人と共感するのに役立ちます
共感とは、他人の感情や思考を感じとる能力です。最近だとEQ(こころの知能指数)といわれていて、聞いたことがある人も多いと思います。
もし、あなたの友達が落ち込んでいたなら、ある程度気持ちを察して気を配るでしょう。 しかし、私たちが睡眠不足の時には、共感するのに必要な脳の部分が機能しません。
カルガリー大学の研究で判明!!睡眠不足だと共感能力が落ちてしまう!?
2018年にカルガリー大学が行った研究では(2)
- 参加者の睡眠の質を2週間調べた。
- その後脳をスキャンしながら作業を行いました。作業内容は、「怒っている」「穏やかな」などの表現が異なる人の写真を見てもらった。
- 参加者に写真の人についてどの程度心配しているかスコアをつけてもらった。
研究者たちが何を調べたのかというと、苦痛を感じている人々と苦痛を感じていない人々との反応の違いを測定し、共感スコアを得た。
また、さまざまな写真を見ながら自分の脳活動パターンを記録し、これがどのように共感の感情に対応するのかを確認しました。
結果は、
- より良い睡眠を報告した人々は、「苦痛を感じている人々に対して有意により共感的」だった。
- 苦しんでいる人を見たときに「共感に関連している脳の一部で活動の増加」したそう。
睡眠不足になると相手の感情をくみ取る能力が低下するのは事実。
しかし、逆に言うと睡眠をしっかり確保していれば他人への共感する力は十分上がる。というのがこの研究の面白いところであります。
また、睡眠不足によって感情が読み取れなくなるのは分かったけど具体的にどんな感情を読み取れなくなるのかという疑問が出てくると思います。
この疑問には、2010年にカリフォルニア大学が37人の健康な男女を対象に行った研究が参考になるかと思います。
この研究によると、やはり睡眠不足になると人の顔から感情を読む能力が低下してしまうとのことです。
特に脅威関連(怒り)および報酬関連(幸せ)のカテゴリーの正確な判断を損ない、その効果は女性において最も顕著に観察されるそう。(3)
- いい睡眠は相手に共感することに役に立ちます
- 睡眠不足になると、相手の顔の表情から感情を読む能力が低下してしまいます
睡眠は怒りや攻撃を少なくするのに役立ちます
睡眠不足になるとイライラしてしまうという経験はないでしょうか?しかし、本当に睡眠不足は私たちを「いつもより怒らせる」または「いつもより攻撃的にする」ことができるでしょうか?
2019年にアイオワ州立大学が142人を対象に行った研究では、(4)
- まずは、参加者を無作為に「しっかり睡眠を確保したグループ」「睡眠時間を削ったグループ」に割り当てて
- 非常に嫌な騒音に耳を傾けながら、さらに「イライラさせるような困難な作業」をしてもらいました。
結果はどうなったのかといいますと、、
- 自分の睡眠を削った人は、作業中に非常に不安になり、騒音に順応しなかった!!
普通の睡眠をしていた人と比べて、時間の経過とともにストレスに対して慣れることなく。ずっと悩まされていたそう。
たしかに、睡眠不足の時って音に敏感になってしまうのはよくわかるなぁ~
実験によって睡眠不足が直接的に攻撃性を引き起こすことは確認されていません。
しかし、睡眠不足が攻撃性と暴力の潜在的な原因因子であるという研究はいくつかあります。攻撃的になる理由として最も可能性が高いのが、睡眠不足になると感情コントロール能力の低下するというものです。(5)
具体的な例を1つ挙げておくと、ケンタッキー大学が108人の女子大学生を対象にした研究によると「睡眠不足の女性は、パートナー対してより攻撃的になる」そうです。(6)
睡眠不足な恋人を持つとその恋愛は長続きしないかもしれません(笑)
一言でまとめると、睡眠不足になると他人を非難し標的にする可能性が高くなることを意味します。
- 睡眠は感情をコントロールする能力に影響を与えている
- 睡眠不足は、怒りや攻撃性を強める可能性があります。
- 睡眠不足の女性はパートナーに攻撃的な態度をとってしまう
睡眠と社会的関係の相互作用
もちろん、睡眠が私たちの関係に影響を与えるということだけではありません。その逆も同じように、差別に直面している、または拒絶されていると感じている、いじめられている場合、私たちの睡眠はおそらく悪化するでしょう。つまり、睡眠障害は循環的になり、社会的問題が睡眠不足を引き起こし、逆もまた同様です。
ありがたいことに、定期的に十分な睡眠をとることによってこの「悪のサイクル」を破ることができます。そして、それをすることを試みる価値が少なくともあります。
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